いばるって結局どのくらい相手を止めることができるのかなって思って計算してみた。
〈注意〉
この記事では度々「自傷」という言葉が出てきますが、ポケモン対戦界隈ではここで使用されている意味でこの言葉が膾炙していると考えて、分かりやすさのためそのまま使用しています。ご理解ください。
[最初に]
「いばる」の使用の是非とかそこら辺について触れるつもりは無いです。机上論の計算だけ。
第六世代の仕様の場合だけでやるつもりだったけど、どうせなので第八世代の仕様の場合でもやることにした。
仕様関連の情報は「ポケモンwiki」に則っている。
[前提知識]
- 記事を書いた日
2022年の10月。要するに第九世代発売前。仕様等はその時点での情報に基づく。 - 「いばる」について軽く
第二世代に初登場した、相手の攻撃のランク補正を+2して相手を混乱状態にする変化技。第六世代まででは命中90、第七世代以降は命中85。 - 「こんらん」について軽く
第一世代から存在する状態変化(状態異常)。2-5ターンの間持続し、一定確率でそのポケモンの行動が所謂「自傷」に変更され、自身に威力40、タイプなしの物理技を撃つ。混乱の最後のターンは解除メッセージが出て自傷はしないため、実質的には1-4ターン。*1
自傷する確率は、第六世代まででは1/2、第七世代以降では1/3。
[前提条件]
- 想定する世代
まず第六世代、次に第八世代。違いは威張るの命中と混乱の確率だけ。 - 「自分」と「相手」
自分が威張るをする方で、相手が混乱する方。「自分」は特性が複眼だったりミストメイカーだったり、持ち物がフォーカスレンズだったりとつげきチョッキだったりしないし、「相手」は特性がミラクルスキンだったりマイペースだったり、持ち物がひかりのこなだったりラムのみだったりしない。威張るは命中通りに当たるし当たれば相手は混乱する。
- 「自分」と「相手」の行動
基本的に自分は最初に威張るを一回するだけ。相手は基本的に自傷するかしないかだけ。
自分は最初に威張るをしてからずっと、相手は最初からずっと「はねる」をしていると考えるのが実際に即していると思う。 - ひんしについて
自分も相手も、試行中にひんしになることはない。 - 確率の表記について
百分率で表す。有効数字は3桁で、四捨五入。 - 混乱の継続ターンについて(重要)
2-5ターンそれぞれになる確率は等しく、それぞれ1/4であるとする。
[第六世代]
[混乱したnターン目に自傷する確率]
- 1ターン目 ⋯⋯ 50.0%
4/4*1/2=1/2 - 2ターン目 ⋯⋯ 37.5%
3/4*1/2=3/8 - 3ターン目 ⋯⋯ 25.0%
2/4*1/2=1/4 - 4ターン目 ⋯⋯ 12.5%
1/4*1/2=1/8
[混乱した相手が少なくともn回自傷する確率]
- 1回 ⋯⋯ 76.6%
1-1/4*(1/2+1/4+1/8+1/16)=49/64 - 2回 ⋯⋯ 35.9%
1/4*(1/4+4/8+11/16)=23/64 - 3回 ⋯⋯ 10.9%
1/4*(1/8+5/16)=7/64 - 4回 ⋯⋯ 1.56%
1/4*1/16=1/64
[混乱した相手がn回だけ自傷する確率]
- 0回 ⋯⋯ 23.4%
1/4*(1/2+1/4+1/8+1/16)=15/64 - 1回 ⋯⋯ 40.6%
1/4*(1/2+2/4+3/8+4/16)=26/64 - 2回 ⋯⋯ 25.0%
1/4*(1/4+3/8+6/16)=16/64 - 3回 ⋯⋯ 9.38%
1/4*(1/8+4/16)=6/64 - 4回 ⋯⋯ 1.56%
1/4*1/16=1/64
[いばるをして相手が自傷する回数の期待値]
1.13回
90/100*(15/64*0+26/64*1+16/64*2+6/64*3+1/64*4)=9/8
[いばるをして相手が一度も自傷しない確率]
31.1%
10/100+90/100*15/64=199/640
[第八世代]
[混乱したnターン目に自傷する確率]
- 1ターン目 ⋯⋯ 33.3%
4/4*1/3=1/3 - 2ターン目 ⋯⋯ 25.0%
3/4*1/3=1/4 - 3ターン目 ⋯⋯ 16.7%
2/4*1/3=1/6 - 4ターン目 ⋯⋯ 8.33%
1/4*1/3=1/12
[相手が少なくともn回自傷する確率]
- 1回 ⋯⋯ 59.9%
1-1/4*(1/3+4/9+8/27+16/81)=194/324 - 2回 ⋯⋯ 19.4%
1/4*(1/9+7/27+33/81)=63/324 - 3回 ⋯⋯ 3.70%
1/4*(1/27+9/81)=12/324 - 4回 ⋯⋯ 0.309%
1/4*1/81=1/324
[相手がn回だけ自傷する確率]
- 0回 ⋯⋯ 40.1%
1/4*(2/3+4/9+8/27+16/81)=130/324 - 1回 ⋯⋯ 40.4%
1/4*(1/3+4/9+12/27+32/81)=51/324 - 2回 ⋯⋯ 15.7%
1/4*(1/9+6/27+24/81)=51/324 - 3回 ⋯⋯ 3.40%
1/4*(1/27+8/81)=11/324 - 4回 ⋯⋯ 0.309%
1/4*1/81=1/324
[いばるをして相手が自傷する回数の期待値]
0.708回
85/100*(130/324*0+131/324*1+51/324*2+11/324*3+1/324*4)=2295/3240
[いばるをして相手が一度も自傷しない確率]
49.1%
15/100+85/100*130/324=1591/3240
[最後に]
いばるの仕様変更は、確かに大きな弱体化であったのだなと実感した。特に、相手に行動させない回数の期待値が1より大きいかどうかは妨害手段として捉えた際の評価の分水嶺だろう。
計算に誤りや疑問点があればTwitterまで。
[参考にさせていただいたサイト]
*1:便宜上「ターン」と表現しているが、より正確を期すならば「行動権」などと表現した方が適切かもしれない。